株式会社フルリノにて、実家・空き家を保有または相続する20〜60代以上の男女1,000名を対象に、活用や処分に関する意識調査を実施しました。

調査の結果、想像以上に深刻な「空き家を動けない実態」が浮き彫りになりました。
理想は「売却」と答えた人が59.5%を占める一方で、現実には「放置せざるを得ない」と答えた人が23.1%に達しました 。家族と一度も将来について話せていない人も20.0%でした。
理想と現実、危機感と知識、当事者と家族のあいだに3つの構造的なギャップが存在し、空き家問題の解決を阻んでいる実態が明らかになっています。
■ 調査ハイライト
- 【理想vs現実】 理想は「売却」59.5%、しかし現実には「放置せざるを得ない」が23.1%。理想と現実が一致しない人は半数を超える51.4%。
- 【知識ギャップ】 固定資産税が最大6倍になる「特定空家」制度を「全く知らない」と回答した人が59.0%。詳しく知っている人はわずか3.6%。
- 【家族との対話崩壊】 家族と将来について話した時間が「0時間」、つまり一度も話せていない人が20.0%。「1時間未満」を含めると52.2%。
- 【比較検討経験ゼロ】 「建替え」と「リノベーション」を比較検討した経験が「ない」人は79.2%。判断基準は「予算」74.2%に偏在。
- 【動けない理由トップ】 活用や処分に踏み切れない最大の理由は「何からしていいか不明」51.5%。費用(37.8%)を上回る情報不足が壁に。
■ 調査背景
日本の空き家は900万戸を超え、過去最高を更新し続けています(総務省統計局「住宅・土地統計調査」)。
空き家問題は社会課題として広く認知されているものの、実家や空き家を実際に所有・相続している当事者がどんな悩みを抱えているのか、その実態は意外と知られていません。
フルリノ編集部は、リノベーションの相談現場で日々耳にする「動けない理由」を定量的に明らかにするため、本調査を実施しました。
■ 主要な調査結果
(1) 理想と現実のギャップ|売りたいのに、売れない
将来の出口として理想を尋ねたところ、「売却」と答えた人が59.5%に達しました。
一方、現実的に予想する出口を聞くと、売却は42.5%まで減少し、代わりに「放置せざるを得ない」が23.1%を占めました。
理想と現実が一致しない人は51.4%で、半数以上が望まない出口に向かいつつある実態が明らかになっています。
さらに、理想で「売却」を望んだ595人のうち150人(25.2%)が、現実には「放置」を予測していました。
「売りたいけれど売れない」と本人が予感している層は、全国の空き家900万戸超(総務省統計局)の規模感を踏まえると、市場には100万人単位で潜在している可能性があります。

(2) 危機感と知識のギャップ|「税金6倍」を6割が知らない
管理が行き届かない空き家を行政が「特定空家」に指定すると、固定資産税の住宅用地特例が外れ、実質6倍の負担になり得ます。
しかし本調査では、この制度を「全く知らない」と答えた人が59.0%でした。
物件までの移動時間が30分以内という近所のオーナーですら66.7%が制度を知らず、距離の遠近に関わらず情報が当事者に届いていない実態が浮き彫りになっています。

(3) 当事者と家族のギャップ|5人に1人は一度も話せていない
家族や共有者と将来について話した合計時間を聞いたところ、「0時間」つまり一度も話せていない人が20.0%、「1時間未満」を含めると52.2%が実質的に未対話のままでした。
所有者・共有者の意向についても、「何も考えていない」34.4%、「不明」20.8%が続き、話し合いの場すら持てていない状況が判明しました。

(4) 比較検討経験「ない」が79.2%—「動けない」の正体
「建替え」と「リノベーション」の比較検討経験について尋ねたところ、「ある」と答えた人はわずか20.8%にとどまり、79.2%が出口の選択肢を比べたことすらないという結果になりました。
判断基準を尋ねた設問(n=666)でも「予算」が74.2%に偏在しており、これは「予算で選びたかった」のではなく「他の比較材料がないから予算で決めるしかない」という消極的選択である可能性が高いと読み取れます。
本調査の最大のインサイトは、空き家問題で動けない当事者の本質が「動けない」のではなく「比較できていない」ことにある、という点です。

(5) 世代別に見る特徴|20代と30代以降で実家観が逆転
対象物件を「資産」と「負債」のどちらに感じるかを年代別に集計したところ、世代間で明確な傾向の違いが見えました。
20代では「資産派」が49.6%と「負債派」25.2%を約24ポイント上回ります。
一方、30代では資産派38.6%・負債派43.8%、40代では資産派37.0%・負債派47.9%と、30代以降で負債派が逆転する構造が浮き彫りになりました。
親が高齢化し、相続が現実味を帯びる年齢帯に入ると、物件への評価が「夢のある資産」から「重い負担」へと反転している可能性があります。
世代をまたいだ対話設計の重要性を示すデータです。
■ フルリノ編集部の考察
本調査で明らかになった3つの構造的ギャップは、いずれも「情報の非対称性」に起因しています。
実家・空き家オーナーの多くが、「売れない・解体できない・話し合えない」という"動けない三重苦"の中で、放置という最悪の選択肢に流されつつあることが本調査から浮き彫りになりました。
当事者は「何から始めればいいか分からない」(51.5%)、「業者比較したい」(20.5%)、「成功事例を知りたい」(18.5%)と、具体的かつ比較可能な情報を求めています。
一方で、現状の情報環境は売却業者・解体業者・建築会社・リノベ会社など立場ごとに分断されており、横断的に比較できる窓口が不足しています。
空き家問題の解決には、社会全体で「比較できる場」を整備し、当事者が自分のケースに合った選択肢を見つけられる環境を作ることが不可欠です。
フルリノは、リノベーションだけでなく売却・賃貸・解体・建替えを含む「活用」の選択肢を中立的に比較できる情報提供を続けていきます。
■ 詳細レポートを公開中
本調査の全データ・自由記述・5つの活用選択肢の詳細解説は、フルリノMAGAZINEの特集記事で公開しています。
▶ 「売りたい59.5%・放置せざるを得ない23.1%」空き家問題1,000人調査|活用が進まない3つの理由とは
■ 調査概要
調査名:実家や空き家の扱いに悩む方の「本音」調査
調査主体:株式会社フルリノ
調査対象:実家・空き家を保有または相続する20代〜60代以上の男女
有効回答数:1,000名
調査時期:2026年4月
調査方法:インターネット調査(クラウドソーシング経由の自記式)
設問数:全24問
■ 調査データの引用について
本調査データを引用する際は、出典として「株式会社フルリノ調べ/2026年4月実施・n=1,000」と明記してください。
報道機関、自治体、研究機関、教育機関による引用を歓迎しています。
なお本調査はクラウドソーシング経由の自記式インターネット調査である性質上、深刻度が高い層や高齢層が相対的に少ない可能性がある点を、引用や解釈の際にあわせてご確認ください。